漢方薬店kampo’s薬剤師の鹿島絵里です。現代ならではの目線と評価で、漢方の役立つ情報を発信していきます。
「夏がとにかく苦手」で毎年夏バテする人がいる一方で、「暑いことは暑いけれども元気に夏を楽しめる!」という人もいます。さて、両者の違いとは?
回復の下手な体質が夏バテの原因?!
夏といえば、なんといっても暑さ。そこに湿度も加わってたくさんの汗をかきます。汗をかくことそれ自体が、実はけっこうエネルギーを消耗します。さらに冷房の効いた空間との行き来で、体温調節を担う自律神経はへとへと。
この夏の疲れをリセットするのに、どれくらいの時間が必要でしょうか。疲れ具合にももちろんよりますが、その日の疲れはその日のうちに。1日単位で回復できるのが理想です。「軽くお昼寝をすればフルチャージ!」なんていう夏休みの子供のようにはいかなくとも、一晩眠れば翌朝は気持ちよくスタートできる日常が送れていれば、夏バテの心配は少ないでしょう。
夏休みもありますから、キャンプや長距離移動など、特別なイベントでいつもと違う過ごし方をすることもあるでしょう。その場合、回復には1日と言わずむしろもっと時間をかけるのが賢明です。予定を詰め込み過ぎずに、心身ともに疲労感が抜けるように過ごしてください。
活動の振れ幅に見合う休息がカギ
ここでちょっと漢方らしく陰陽のお話です。あらゆる事象を陰と陽のふたつに分けて考える陰陽思想は、単純ながらも奥が深いです。どちらか一方が多い、または少ないのはアンバランスで望ましくなく、理想的なのは双方が同じバランスで存在することです。
さて、夏の疲れについて考えてみましょう。活発に動くことや、汗をかいて代謝が盛んなことなどは「陽」の要素です。反対に休んだり身体を沈静化させることは「陰」の要素です。消耗するのが陽で回復が陰というわけです。繰り返しになりますが、どちらが良い・悪いではなく、どちらも同じように大事です。
夏はそもそも陽が盛んな季節ではあるのですが、陰の要素を無視して陽ばかりを重視していては、疲れがたまっていくのは当然ですね。上手にバランスをとるためには、陽と同じ振れ幅で陰も扱われなければなりません。無意識のうちにかく汗、無意識のうちに行われる体温調節、いつもと同じ過ごし方では回復が追い付かず、その結果、夏バテしてしまうのです。たとえ無意識の消耗でも、それに見合う回復が必要です。
腸内環境が回復力を高める
夏バテ防止の基本三原則は入浴、睡眠、朝ごはんです。一日の終わりにぬるめのお風呂につかることで自律神経が整いやすくなります。そしてたっぷりの睡眠。翌朝は朝食をきちんととり、これから消耗するエネルギーを補給しておきます。そして、これら基本三原則の効果を底上げしてくれるのが腸内環境です。
腸内細菌には人の身体に働きかけて自律神経を整えたり、様々な代謝のスイッチを入れる働きがあります。湯船につかってリラックスすることも、睡眠をとって回復することにも、腸内細菌は関係があります。もちろん食べたものから効率よく必要な栄養を取り出し、身体に吸収させることでも、腸内細菌は身体の持つ力の底上げをしてくれます。環境の変化、環境からの負荷に柔軟に対応する力は、腸内環境によって養えます。
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腸活は夏バテ対策
夏バテ防止もしながら腸活もするとなると、やることがいっぱいで大変そうに見えます。が、実際はそうではありません。リラックスすることや睡眠をとること、いい食事をすることは腸活でもあり、同時に夏バテ対策でもあります。
人の身体と腸内細菌たちは常にコミュニケーションを取りながら共存しています。自律神経の状態も、必要な代謝も栄養も、互いに大事な情報として人と腸内細菌たちとの間で共有されています。夏になるとぬか漬けをつくりたくなるとか、味噌汁や季節のフルーツが美味しく感じるとか、そんなふとした日常の感覚は、身体と腸内環境と自然界がうまく調和してる証拠かもしれません。腸内細菌たちの存在を意識しながら、いつもの生活を夏仕様にしてみてください。