金針菜はどんな食材?食べるべきはこんな人

金針菜はどんな食材?食べるべきはこんな人

落ち込んだ時に食べる草?!

キンシンサイ(金針菜)はユリ科の萱草(かんぞう)の黄色い花の蕾を乾燥させたものです。原産は明確ではありませんが、東漢の「説文」(紀元124年)には「忘憂草(ぼうゆうそう)」という名で記載されていることから、その時代より前に中国で栽培されていたとされています。

日本ではあまり馴染みのない食材ですが、高タンパク、高カロリーな食材で薬膳では古くからよく使われる食用の花です。ほうれん草の数倍もの鉄分を含み血の巡りをよくするので、貧血や月経痛など女性の悩みに効果的で、水分代謝を良くするのでむくみによいです。

他にも別名「忘憂草(ぼうゆうそう)とも呼ばれるように、気分の落ち込みを改善し精神を安定させる働きがあります。体にやさしく働きかける食材なので多くの体質に適し常食することができます。

乾燥させたものが一般的ですが旬の6〜10月には生のキンシンサイも出回ります。

生、乾燥どちらも加熱調理して使います。

のキンシンサイには有毒なコルヒチンが含まれ、抗がん作用があると認められていますが、生で食べると中毒の恐れがあり、めまい、むかつき、嘔吐、下痢などの症状が出るのでしっかり加熱する必要があり多食は禁物です。

乾燥のキンシンサイは蒸して乾燥させてあるので安心です、水で戻してから使います。

生のキンシンサイは少しぬめりがありコリコリした独特な食感でとても美味しいです

圧倒的な鉄分が魅力!授乳中にもおすすめ

  • 分類

分類

ユリ科ワスレナグサ属

学名

Hemerocallis citrina Baroni

英語名

Long yellow day-lily (Citron daylily)

中国名

金針菜(ジンジェンツァイ)

原産地

中国

生薬名

金針菜、忘憂草、黄花菜、萱草花、白花菜、宜男草

毒性

無毒(生は有毒)

使用部位

つぼみ

  • 主な栄養素

    キンシンサイの蕾の中の花粉にはビタミン、ミネラルが詰まっており、特に鉄分やカルシウムが豊富に含まれ、鉄分はほうれん草の数倍もあります。

タンパク質

脂肪

炭水化物

アルカノイド

タンニン

精油

カルシウム

リン

β-カロテン

ビタミンB1

ビタミンB2

ビタミンC

ニコチン酸

  • 薬膳的分類

薬膳から見た働きは、体の余分な熱を冷ます「涼性」の働きをもち、味は甘みに分類されています。五臓の肝、腎、脾に働きかけ気血水の巡りを良くし、血を養うことで心と体を健やかにします。

食性(熱寒)

涼性

五味

甘味

帰経

肝、腎、脾

効能

清熱利湿、解毒、養血止血、寛胸解鬱

安中和胃、通乳解毒

  • 適応する症状

 水分代謝を正常に導くことでむくみ、排尿異常、ほてりに良く、血を作り血の巡りを良くすることで、貧血、月経痛、目の疲れ、不眠、不安を解消し、ストレスからくる胃腸の働きを回復させる他、母乳の出を良くし乳腺炎にも良いです。

清熱利湿

ほてり、暑気あたり、排尿困難、むくみ、黄疸

解毒

腫れ物

養血止血

貧血、月経過少、月経痛、不眠、不安、めまい、耳鳴り、出血、鼻血

血痔、血便、目の疲れ、目のかすみ

寛胸解鬱

不眠、不安、抗うつ、イライラ、精神の興奮

安中和胃

食欲不振、消化不良

通乳解毒

母乳の出が悪い、乳腺炎

  • 現代の研究より

メラトニンという脳内ホルモン物質が多く含まれることから精神を安定させる作用があり、不眠や不安などに効果があることがわかってきました。

自律神経の調整

不眠

抗ストレス

ストレスの緩和

  • 適応する体質

    特に向いている

    ・肝気うっ結・肝陽亢盛(イライラ、頭痛、目の充血、気の高ぶり)

    ・瘀血(血の巡りが悪い)

    ・高血圧

    ・授乳期間中の人

    向いている

    ・気血両虚(エネルギー不足、栄養不足、疲れやすい、)

    ・食積痰湿(水の巡りが悪い、お腹がちゃぽちゃぽする、浮腫み)

    ・消化不良

    ・陰虚(体が火照る、イライラ、潤い不足)

    ・微熱の時

    ・高齢者

    ・妊婦

    注意しながら用いる

    ・陽虚(冷えが強い、風邪をひきやすい)

    ・寒気がある時

    ・胃腸の疾患がある

体に優しく働きかけるので多くの体質に向いています。体の余分な熱をとる働きがあるので夏バテにオススメの食材です。冬の寒い日や、温める力が弱い「陽虚」体質の方、冷え性の改善を試みている方、すでに胃腸の疾患をお持ちの方は多食は控え、体を温める働きのある温熱性の食材と組み合わせてとると良いでしょう。

金針菜はどうやって食べるの?

目安の量と保存方法

・用量  

1日15〜20gを目安に、季節気候を考慮し、ご自身の体調に合わせて少ない量からスタートし、量の加減をしながらコツコツ食べることをお勧めします。

・選び方

乾物なので余り色が濃くなっていないものがオススメです。黄色い色のキンシンサイもあります。漂白されて色が薄いものもあるので注意が必要です。

・保存法

生はラップに包んで密閉し冷蔵保存、乾燥品は乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて冷暗所で保存しましょう。

・使い方

乾燥したものは、1時間程度水に浸けて戻し、根元の硬い部分を切り落としてから調理します。

スープなど長く煮込む場合には、硬い部分を取り除けばそのまま煮ても大丈夫です。

生、乾燥どちらもしっかり火を通すこと。生は有毒なので多食は控えましょう。

調理例

スープや炒め物、煮物などがオススメです。少量をこつこつ摂取するには普段良く食べる常備菜に入れると良いでしょう。

調理例1)生のキンシンサイと鶏手羽先と長芋のスープ
調理例2)生キンシサイのスープ、蕾が綺麗に開くこともあります
調理例3)生キンシンサイとインゲンとスパムミートの炒め物(シャキシャキ食感が楽しめます)
調理例4)常備菜「切り干し大根煮」に乾燥のキンシンサイを一緒に入れて調理したもの(キンシンサイの戻し汁も使います)
調理例5)人参と乾燥キンシンサイのきんぴら

このように色々な料理に使えます。乾物なので油と一緒に調理すると美味しいです。戻し汁にも栄養が溶け出しているので捨てずにスープや煮物などに使いましょう。こつこつ摂ることで体の不調を改善してくれる食材です。

お悩み別 金針菜メニュー

  • 食養生(古典より抜粋

    気分がイライラして落ち着かない

    微熱がある

    尿の量が少なくよく出ない

    キンシンサイ30gをスープにして飲む

    「民間方」

    よく眠れない

    キンシンサイ30gをスープにしてお茶代わりに飲む             「医醇謄義」

    耳下腺炎・痔出血・産後母乳が出ない

    キンシンサイと豚肉赤身をスープにして数日続けて飲む         「飲食治療指南」

    鼻血・血便・白帯(白いおりもの)・黄疸

    キンシンサイの根を水から煎じて飲む

    「中国食療学」

    声枯れ

    キンシンサイの葉30g、水300mlで煮てハチミツ15gを加えた物を毎日3回に分けてゆっくり口に含んで飲む

 

〈参考文献〉

「薬膳」東京書籍株式会社 伍 鋭敏・袁 永端 編著

「中医営養学」 山崎郁子 著

「台所漢方」 根本幸夫 著

「中医薬膳学」 辰巳洋 著

「東方栄養新書」  梁 晨千鶴 著

「薬膳食材大全」 日本中医営養薬膳学研究会  

「薬膳と漢方の食材小事典」 東邦大学医学部東洋医学研究室

「薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖」 喩静(監修)植木もも子(監修)

「性味表大事典」 竹内郁子 編著

 

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2000年以上前の古代中国で生まれた中医学。 それが日本に伝わり、
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