ステラデンタルクリニック(広島県)の漢方薬剤師・分子栄養学アドバイザーの豊田暖佳です。お子さんやご自身が体調不良で食欲がないとき、皆さんはどうされていますか?今回は、我が家で体調不良の際に作っている胃腸が弱っている方でもぐびぐび飲める栄養満点「ボーンブロススープ」のレシピをご紹介します。
ボーンブロススープとは?
「ボーンブロススープ」とは、鶏や牛、豚などの骨を長時間じっくり煮込んで作るスープのことです。長時間煮込むことで、たくさんの栄養素がスープに溶け出します。
なぜ体調が悪い時にボーンブロススープがいいの?
1. 栄養をしっかり補給できるから
風邪を引いた時に必要なのは、細菌やウィルスなどと戦っている自分の免疫力をサポートしてくれる栄養素と、体力を落とさないようにするエネルギーです。ですが、身体は病気を治す方に、全力でエネルギーを使うので、消化や思考など他の活動に回せるエネルギーが減ってしまいます。そうすると、食欲が落ちてしまいます。そんな消化力が落ちている時に、消化のエネルギーを使わなくても、たくさんの栄養素を身体に吸収して回復を助けてくれるのがボーンブロススープです。鶏ガラや牛骨、豚骨を煮出して作ることで、以下のような栄養素が溶け出します。
・アミノ酸(グリシン、プロリン、グルタミンなど):粘膜の修復、免疫調整に役立つ
・コラーゲン・ゼラチン:腸のバリア機能を助け、吸収をサポート
・ミネラル(カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛):骨や神経、免疫機能の維持に必要
・電解質(ナトリウム、カリウム):発熱や下痢で失われがちな体液バランスの回復に
通常、食事からこれらの栄養素を消化吸収するには、3、4時間かかりますが、ボーンブロススープだと30分ほどで吸収されると言われています。特にゼラチンやアミノ酸は、風邪によってダメージを受けた消化管の粘膜の修復に有効なので、「食べる点滴」のような役割を果たしてくれます。
2. 腸内環境を整え、免疫をサポートするから
腸には体内免疫の6~7割が集まっているといわれており、腸が弱ると感染症にもかかりやすくなります。なので、腸内環境を整えることが重要です。ボーンブロススープに含まれるゼラチンやグルタミンは、腸の上皮細胞の修復や、腸粘膜の再生に役立つとされており、体の内側から免疫力を立て直す手助けをしてくれます。
レシピ
手羽元や手羽先…500g程度
冷蔵庫にあるお好きな野菜(人参、玉ねぎなど)…適量
酢…大さじ1(骨からミネラルを出しやすくするため)
長ネギの青い部分…1つ(臭みとりのため)
生姜スライス…数枚(風味と体を温めるため)
塩(ミネラルの多い海塩がオススメ)…小さじ1
水…約2リットル(材料が浸かるくらい)
1,野菜をお好みの大きさに包丁で切る
2.大きな鍋にすべての材料を入れ、強火にかける
3.沸騰したら弱火にして、1、2時間ほどコトコト煮込む

以上で完成です。手羽先の方が、よりゼラチンが多く出るので、味も濃厚でオススメです。冷えるとゼラチンが固まり、ゼリーのようにプルンプルンになります。喉が痛くて熱いものが飲み込みにくい時は、冷えたままジュレのように食べてもらっても大丈夫です。お子さんはジュレの方が好きな子も多いです。
*圧力鍋をお持ちの方は30分程度煮込んだら完成です。またコンロに放置しておく事が不安な方は、炊飯器に全ての材料を入れて炊飯モードで作る事もできます。ご自身のやりやすい方法で作ってみてください。
*鶏以外にも牛骨や豚骨、魚のアラなど骨つきであれば、ボーンブロススープになります。
*胃腸を整えてくれる高麗人参や棗を入れて参鶏湯風ボーンブロススープにするのもオススメです。
飲ませ方の工夫
しんどそうな時は、欲しがるタイミングで少量ずつ具はなしでスープをちょびちょび飲ませましょう。食欲が少し回復してきたら、お粥をボーンブロススープで作って、糖質もチャージしていきましょう。味が薄いと感じたら、味噌を混ぜると、味噌汁になり飲みやすくなります。ボーンブロススープは、離乳食が始まる6ヶ月のお子様からお飲みいただけるので、家族みんなで飲むことができます。体調不良の時以外でも、普段から定期的に飲んでいると、家族みんなの健康管理に繋がります。栄養面でも、消化・吸収の面でも優れた「ボーンブロススープ」。材料を切る作業が少し手間ですが、全ての材料を鍋に入れてしまえば、タイマーをかけてコトコト煮込めば完成です。他の作業をしながら待てるので、意外と簡単に作れます。(火には注意しましょう。)
ボーンブロススープのおかげか、我が家では熱が出ても次の日には熱が下がり、あっという間に元気になります。体調不良の際の心強い味方として、ぜひご家庭のレパートリーに加えてみてくださいね。
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