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頭痛なのに胃薬が処方された?!

頭痛なのに胃薬が処方された?!

漢方薬店kampo’s薬剤師の鹿島絵里です。現代ならではの目線と評価で、漢方の役立つ情報を発信していきます。

「頭痛で受診したら、胃腸の漢方薬を処方されてしまった。」
妙な感じがしますよね。でもこれ、漢方あるあるです。今回はちょっとマニアックな漢方のお話です。

体調で天気の変化を察知する人たち

ジメジメシーズンが到来しました。最近の梅雨は台風のような凄まじい雨風をともなったり、線状降水帯による災害が生じるなど油断できません。さて、こんなモンスター級の気圧の変化で、体調に影響が出ることはないでしょうか。なかには「台風レベルじゃなくても、気圧の変化によく影響を受ける!」と、まるで体調気象予報士のような方にもお目にかかることがあります。頭痛、めまい、神経痛、食欲不振に吐き気など、人によって症状は様々ですが、多くの場合「気圧が下がるタイミング」で困った症状があらわれるようです。

データで見る天候による体調への影響

調べてみたところ、気象病(meteoropathy)に関する研究論文の数はそれほど多くはありませんでしたが、頭痛の五大要因のひとつとして天候の変化がしっかりとあげられています(ちなみに残りの4つの頭痛の要因は、感情的ストレス、月経によるもの、睡眠障害、食べ物やアルコール飲料、だそうです)。
以下に気象と頭痛の関係の報告を抜粋してみます。

・片頭痛は気圧が1003~1007ヘクトパスカル(hPA)の間にあるときに起こる(標準気圧は1013hPA)
・片頭痛患者28人を対象とした研究では、5hPAを超える気圧の低下が14人の頭痛と関連していた
頭痛の強さだけでなく、片頭痛の開始も気温が低く、湿度が高いことと関連していた

なるほど、限られた数であるとはいえ、やはり天候によって体調に影響が出るのはデータとして証明されています。[1][2][3]

低気圧に弱い人は胃腸が弱い

さて冒頭の話題に戻りますが、こうした頭痛のお悩みを抱えて受診すると、なぜか効能効果に「胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐」などと書かれた漢方薬が出ることがあります。「いわれてみれば確かに、食欲不振や胃もたれはゼロではない。けれども、困っているのは頭痛。処方間違いでは?」と思ってしまいますよね。
ですが実はこれ、漢方の世界では常識的に論じられてきたことなんです。胃腸虚弱がある人の頭痛には多くの場合、胃腸の立て直しが必要です。そのため、効能効果に「頭痛」が入っていなくても積極的に使われることがあるのです。

もう少し踏み込んでみましょう。気圧や湿度がもたらす頭痛と胃腸を結びつけるのは「水の動き」です。気圧によって海水面が上下したり、湿度によって洗濯物の乾く時間が変わったり、そこに水の動きがあるのは分かりやすいですね。そして人の身体において、入ってきた水分を最初に捌くのが胃腸です。正確には五臓の「脾と呼ばれるところです。脾が弱い人は水を捌くのが上手くありません。脾が充分に強くて、水を代謝する力や体内のあるべき水の流れがしっかりとしていれば、外からの気圧の変化や湿度の影響に翻弄されることはありません。しかし脾(つまり胃腸)が弱って働きが充分でないと、からだ全体の水の流れが望ましくないものとなり、頭痛などの症状につながるというわけです。

頭痛に対して胃腸の漢方薬が有効なわけが、ご理解いただけたでしょうか。ちなみに、気象によって誘発される神経痛やめまい、嘔吐など、頭痛以外の症状も同じように考えることができます。

漢方薬と薬膳

この場合の代表漢方薬である六君子湯やその類似処方(柴芍六君子湯、二陳湯、五積散など)は、健胃効果の陳皮と、湿を除く作用の強い半夏の組み合わせが特徴的です。
ストレスに敏感でお腹が張りやすい方には、朮と厚朴と陳皮の組み合わせで、気の巡りを促しながら除湿してくれる平胃散やその類似処方(胃苓湯、茯苓飲合半夏厚朴湯など)がより効果的です。

お薬を飲むほどには困っていない方も、食養生で上手に予防することができます。スーパーに並ぶ紫蘇や茗荷は湿気の高まるまさに今、旬を迎え、体から湿を追い払う力を備えた食材です。この時期にピッタリですね。
またkampo labで取り扱いのある“Yakuzen series みかんの皮”“Yakuzen series ハトムギ(粒と粉があります)”も、湿を追い払って脾の力を高めるパワーのある薬膳食材としておすすめです。

これといった治療法がなく漫然と鎮痛剤を服用するだけ、と諦めていた方、ぜひ漢方の考え方を取り入れて胃腸ファーストの夏を過ごしてみてください。脾を弱らせる冷たいもの・生もの・お砂糖たっぷりのもの・アルコールの摂取、そして満腹まで食べる習慣、これらをやめてみるだけでも、効果がありますよ。

参考文献
[1] Meteoropathy: a review on the current state of knowledge. Hoxha M, Zappacosta B. J Med Life. 2023
[2]Migraine Triggers: An Overview of the Pharmacology, Biochemistry, Atmospherics, and Their Effects on Neural Networks. Kesserwani H. Cureus. 2021
[3] Weather sensitivity in migraineurs.Hoffmann J, Lo H, Neeb L, Martus P, Reuter U. J Neurol. 2011

食良品店FOOD LAB

漢方メディアは株式会社kampo labが運営する、薬剤師や専門家による最新のセルフケア・漢方・薬膳情報サイトです。

同社が運営するFOOD LABは築地にあり、1階が無添加食品のセレクトショップ、2階は薬膳鍋(飲食店)と、食を健康的に楽しめるような店舗です。

漢方メディアでもご紹介する薬膳食材、オーガニック食品のほか、ヴィーガン、グルテンフリーなど多様化する食のスタイルに対応した、セルフケアに最適な商品などを多数取り扱っております。

築地までのご来店が難しい方にはオンラインショップもございますので、漢方メディアでの日々の体のケアと合わせてぜひご利用ください。

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