PMS(月経前症候群) 〜漢方の教科書〜

\体質を知ってよくしよう/
PMS(月経前症候群)
月経の1〜2週間くらい前になると、イライラ・憂鬱・倦怠感・胸の張り・不眠・下腹部痛・頭痛・むくみなど、さまざまな不調が現れやすくなります。これらの症状は、月経が始まると軽くなることから、「月経前症候群(PMS)」または「月経前緊張症」と呼ばれます。
その原因はまだはっきり判明していませんが、原因のひとつに、黄体ホルモンの増加が影響していると考えられています。
黄体ホルモンとは
数多くある女性ホルモンの中でも、女性にとても大きな影響を与えるのが、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類。 まず、それぞれの働きを見てみましょう。
子宮内膜を厚くして、妊娠準備をするホルモン。
女性らしい丸みのある体つき、肌や髪の潤いなどを保つ。
子宮内膜をやわらかく成熟させるホルモン。
体温上昇や皮脂の分泌、水分貯留などの作用を持つ。
この2種類のホルモンは、年齢や月経周期で分泌量が変化し、そのわずかな変化で女性の身体をコントロールしています。月経前に身体のむくみや重だるさを感じるのは、排卵後、急激に増える黄体ホルモンの水分をたくわえる作用によるものです。他に、皮脂分泌の増加や自律神経の乱れにより、心身さまざまな不調が現れ、PMSとなります。
漢方では、この時期、基本的に巡りを良くするケアをしますが、不妊治療中の方や更年期世代の方など、人によっては巡らせず不足を補うケアが必要になります。まずは自分のタイプを知って、PMS対策をしていきましょう。
PMSのタイプ別養生
1,巡りが悪い・ためこみタイプ
- 【気滞・瘀血・水滞】
-
チェック
□月経前になるとイライラやカッとしやすくなる
□過食になりやすい
□胸の張りや痛みを感じる
□むくみが悪化する
□吹き出物が出来やすくなるポイント
気血津液が巡らず、停滞している状態。ストレス発散や身体を適度に動かし、余計なものを「ためない」生活を心がけましょう。
養生
・気功やストレッチで心身を軽やかに、巡らせましょう
・アロマやハーブでリラックス・リフレッシュをしましょうおすすめ食養生
ジャスミン茶、ミントティー、玫瑰花、菊花、柑橘、金針菜、黒きくらげ、ハトムギ、黒豆
2,パワー不足タイプ
- 【気虚・陽虚】
- チェック
□普段から低体温で、月経前でも体温が上がりにくい(排卵後、舌下で36.7度以上が理想とされています)
□流産の経験がある
□食欲不振、少食
□軟便、下痢しやすい
□疲労感や倦怠感を強く感じる
ポイント
身体の原動力である“気”が不足している状態。特に下半身は冷やさないようにしっかり温めるよう心がけましょう。
養生
・朝起きたら白湯を飲み、内臓を温めましょう(白湯は沸騰後20分沸かすとさらに美味しく飲めます)
・足湯で芯から温めましょう
おすすめ食養生
きのこ、山芋、鶏肉、えび、羊肉、胡桃、栗、高麗人参、なつめ
3,潤い不足タイプ
- 【血虚・陰虚】
- チェック
□月経前に寝汗をかきやすい
□ほてりやのぼせがある
□不眠、多夢
□心が落ち着かない、ザワザワする
□皮膚が乾燥しているポイント
身体の潤いである“血”などの“陰液”が不足している状態。潤い補給を心がけましょう。
養生
・スパイスや香辛料などの刺激物は控えましょう(熱がこもりほてりの原因になります)
・寝る前のスマホやテレビは避け、早めに寝るようにしましょうおすすめ食養生
豚肉、イカ、ニンジン、ほうれん草、豆腐、豆乳、梨、白キクラゲ、クコの実、蜂蜜
まとめ
◎気持ち・ココロの養生
ストレスはためこまないのが理想ですが、ためやすい方は、カラオケや友人とのおしゃべりで発散したり、映画などで涙を流してデトックスするのもおすすめです。仕事や予定をアレコレ詰め込まず、気持ちにゆとりを持って過ごしましょう。
◎カラダの養生
停滞しやすいこの時期は、ストレッチや気功で節々を伸ばしたり、適度に身体を動かすことが必要です。
むくみやすい方は、食事の塩分を控えるだけでも随分すっきりしますよ。
・ストレスをためない(発散させる、悩まない)
・食事は食べ過ぎない(腹八分以下にして腸の活動をサポート)