歯科治療の今むかし
こんにちは。歯科医師の吉田健人です。今回は東洋医学というよりも歯科医療の歴史と今後の歯科医療についてスポットを当ててご紹介したいと思います。
こちらの歯科医療の変遷を知っていただくと、歯医者さんに行った時に納得のできる治療方法を選択する一助となります。ぜひ一読してみてくださいね。
Contents
昔も今も基本は同じ~Drill and fill(削って埋める)~
現在では定期的に予約して歯のクリーニングで歯医者さんに行く方も多いかと思います。少し前は虫歯の洪水と言われる程、患者さんが溢れかえっていたようです。歯科医院の前には朝から行列ができて、朝から晩まで診療を行っていました。
当時の先生は患者さんの虫歯を削って埋めて(Drill and fill)、患者さんが食事できるようにするのが最優先でした。仮に虫歯が大きすぎて、もう被せることができない歯は抜歯して入れ歯を作る。こんな感じで診療が進んでいたと思われます。
歯医者さんで外に並ぶなんて今では考えられないですね。。。
歯だけ見ていちゃダメ!~歯周病という全身疾患~
「虫歯を治して解決」ではない
少しずつ時代は変わり、医療の進歩により寿命が伸びてくることで様々な課題が見えて来ました。
①入れ歯より患者さん自身の歯の方がよく噛める!
昔は寿命もそんなに長くなかったので、入れ歯の部分が少ないうちに亡くなっていた人はそこまで噛めないということがなかったのかもしれません。
※総入れ歯に近づけば近づく程、噛む能力は低下します。
②歯を少しでも残したい(削ったり抜いたりするのは嫌だ!)
寿命が伸びると共に生きていく上で食事は楽しみたいですから、噛む能力が落ちる入れ歯は嫌だ!ってなりますよね。そうなると今まで抜いていた歯を保存してできる限り自分の歯で生きて行こうとなる訳です。
しかし世の中そんなに上手くはいかず、歯を保存することで生じて来たのが歯周病です。
相互に悪化させあう?!歯周病と生活習慣病の意外な関係
名前の通り「歯の周りに生じる病気」ですから、免疫力の低下しているご年配の方々は歯を残せば残す程、歯周病のリスクは上昇してしまいます。
そして少し前から「歯周病が全身疾患、とりわけ生活習慣病と関連している」という驚きの事実が明らかになってきました。
歯周病は慢性的な炎症を引き起こす病気ですから、同じ慢性的な炎症性疾患である糖尿病、脳梗塞、心疾患、ガンなど様々な生活習慣病を悪化させたり、逆に他の生活習慣病によって歯周病が悪化しているのです。
このような事実から日本政府も生活習慣病である歯周病の予防医療に特に力を入れています。最初に申し上げた歯のクリーニングですね。歯のポケットの周辺を綺麗にして歯周病を予防するという訳です。
見える敵から見えない敵との戦い~歯ぎしりと顎関節症~
現代に急増している新たなお口のトラブル
きちんと歯を磨いてクリーニングしていれば、虫歯にもならないし、歯周病になることはあまりありません。
でも最近新たな敵が現れているのです。それが歯ぎしりや顎関節症という敵です。
「寝てる時に歯ぎしりする音がしていたよ」という身近な人からの一言、前歯が平坦になり角が尖っていたり、奥歯の噛む面が平坦になっていること。朝起きたら、口を開けるのが重い、痛い、口が思っている以上に開かない。こんな患者さんが増えて来ています。
損傷するのは歯の表面だけではなく、歯頸部(歯の歯茎に近いほうの部分)にひび割れが生じて修復しないといけないようになる方もおられます。(専門的には、くさび状欠損といいます。)
これも歯を残す風潮が高まっている最近では増えてきています。歳を重ねる程に歯は硬く脆くなるので、ヒビが入りやすくなっています。
原因は見えない敵であるストレスです。普段生活していると様々なストレスがかかりますよね。昔と比べて今はストレス社会ですので、ストレスを溜めている方が多くなっています。
歯科医院では歯ぎしりによる歯の影響を少なくする為に一般的にはマウスピースを設計して装着する方法、他に歯ぎしりをなくす漢方薬を服薬するなどがあります。
これらの対策はあくまで対処療法なので、歯科医師として患者さんのストレスをどのように緩和して行くかは今後の大きな課題だと思っています。
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いかがでしたでしょうか。歯科医療のちょっとした古今東西を御説明させて頂きました。
最後に申し上げたい一言があります。ご年配の患者さんは「若い頃に歯を大事にしておけばよかった。歯磨きの励行や歯医者さんに行っておけばよかった。」とよく話されます。歯磨きも歯医者さんでの定期的なケアも継続して続けて頂いて口福な毎日をお過ごしくださいね。