基礎体温表を“体質診断ツール”に変える方法
漢方薬店kampo’s薬剤師の鹿島絵里です。現代ならではの目線と評価で、漢方の役立つ情報を発信していきます。
今回は女性の基礎体温のお話です。今まさに記録を付けている実践中の人も、挫折した経験がある人にも、目から鱗の情報です。

Contents
基礎体温のグラフの形には意味がある
「基礎体温表をつけてみたけど、グラフがバラバラでよくわからない」「続けてはいるけど、数字を眺めるだけで終わってしまう」。そんな経験、ありませんか?
実はその“よくわからない”と思っていたグラフには、あなたの体質がちゃんと映し出されています。漢方の視点から見ると、高温期が短い、低温期が長い、グラフがギザギザ…そのどれもが大切なサイン。病気ではないけれど不調の芽がある「未病」の段階だからこそ、気づけたら具体的な方向性をもってケアができます。
ここでは基礎体温のパターンを6タイプに分けて、それぞれの“隠れ体質”とおすすめの養生法をご紹介します。まるで占いを読むような感覚で、あなたのグラフと照らし合わせてみてください。
よくある6つの基礎体温パターン
① 高温期と低温期の差が小さい――エンジンが弱めタイプ

特徴
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二相性はあるが、体温差が0.3℃未満で不明瞭
漢方的体質
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気虚(ききょ) …ホルモン分泌やエネルギー不足で高温期が弱い。
よくあるサイン
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疲れやすい、やる気が出ない、冷えやすい。
おすすめ養生法
差が小さいグラフは「ガソリン不足」のサイン。だからこそ、まずは休むことと食べることを大切に。山芋やお米などエネルギー源になる食材をしっかり取り入れると、体の底力が少しずつ戻ってきます。頑張り屋さんほど自分を酷使しがちですが、体は思った以上にやさしく応えてくれるもの。エネルギーを“チャージする暮らし”を心がけてみましょう。
② グラフがギザギザ――ゆらぎタイプ

特徴
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日ごとの体温差が大きく、上下が不安定
漢方的体質
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肝気鬱結(かんきうっけつ) …自律神経の乱れやストレスで基礎体温が安定しない。
よくあるサイン
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月経前にイライラ、ストレスで体調が変化しやすい。
おすすめ養生法
ギザギザなグラフは「心の揺れ」をそのまま映していることも。深呼吸をしてみたり、アロマやハーブティーで香りを楽しんだり、ちょっとしたリラックス習慣が安定した体温に導いてくれます。ストレスをゼロにすることはできなくても、「揺れる自分」を優しく受け止めることで、グラフも落ち着きを取り戻していきます。
③ 高温期が短い(10日未満)――スタミナ不足タイプ

特徴
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排卵後すぐ体温が下がる/高温期が続かない
漢方的体質
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気血両虚(きけつりょうきょ) …黄体機能が弱い。
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血虚(けっきょ) …血が足りず子宮を養いきれない。
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腎虚(じんきょ) …妊娠の土台の弱り。
よくあるサイン
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経血量が少ない、顔色が白っぽい、めまい。
おすすめ養生法
高温期が短いときは、体に必要なエネルギーも血も不足しているサイン。だからこそ、鶏肉や卵、豆腐などのたんぱく質をしっかりと。さらに黒ごまやなつめなど“血を補う食材”をプラスすると体が喜びます。冷えを避けて、温かい食事や飲み物を選ぶことも大切です。「体を育ててあげよう」という気持ちで日々を過ごすと、グラフにもやさしい変化が現れます。
④ 低温期が長い(排卵が遅い)――マイペース育ちタイプ

特徴
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低温期が20日以上続く/排卵がなかなか起きない
漢方的体質
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腎虚(じんきょ) …卵子の成熟が遅い。
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瘀血(おけつ) …血の滞りで卵巣・子宮の働きに影響。
よくあるサイン
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冷え、月経痛、経血に血塊。
おすすめ養生法
低温期が長いグラフは「ちょっとのんびり屋さん」。下半身を温めて血流を整えてあげると、体もスムーズに動き出します。黒豆やひじきなど黒い食材は腎を養い、青魚や玉ねぎは血の流れをよくしてくれます。腹巻きや湯たんぽでお腹を温めながら「じっくり育っているんだな」と信じて待つ気持ちを持つと、体も安心して応えてくれます。
⑤ 高温期が長すぎる(16日以上続く)――リセットしにくいタイプ

特徴
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妊娠していないのに高温期が続き、生理がなかなか来ない。
漢方的体質
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瘀血(おけつ) …血の巡りが悪く、子宮内膜が剥がれにくい。
- 気滞(きたい) …気の流れが滞って月経リズムが乱れる。
よくあるサイン
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生理周期が長い、経血が黒っぽい、月経痛。
おすすめ養生法
高温期が長く続くのは、血の巡りが滞り、子宮内膜がスムーズに剥がれにくいサイン。そんなときは軽い運動やぬるめのお風呂で体を温めて巡りを整えましょう。柑橘類や香味野菜の香りも気の流れを助けてくれます。生理は体をリセットする大切なプロセス――そう受け止めることで、妊活に前向きな力が生まれてきます。
⑥ 高温期が高すぎる(37.2℃以上で推移)――熱こもりタイプ

特徴
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高温期が「熱すぎる」ように安定
漢方的体質
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陰虚(いんきょ) …体を冷ます“陰”が不足し、余分な熱がこもる。
よくあるサイン
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ほてり、寝汗、喉の渇き、イライラ。
おすすめ養生法
高温期が高すぎるときは「クールダウンがうまくいっていない」サイン。梨や豆乳、はちみつなど体に潤いを与えてくれる食材を取り入れてみましょう。辛いものやお酒を控えるのも、余分な熱を逃がす工夫になります。夜はスマホを早めに閉じて、静かに休む時間を増やすと心も体も落ち着きます。焦らずに“涼しさ”を取り戻すことで、体のバランスが整っていきます。
基礎体温の基本的なはかり方
基礎体温は、起きてすぐの体の“素の温度”を測ることで、排卵や黄体期の変化を正確に把握できます。計測は、朝目覚めたら布団から出る前に、できるだけ同じ時間に行うのがポイント。舌下で測るタイプの婦人体温計を使うと、体温の変化を細かく捉えやすくなります。
測定するとき、多くの人は仰向けで測ろうとしますが、体温計がぐらぐらしたり、手で支えても寝ぼけてうまくいかないことがあります。そこでおすすめなのが、横向きでの測定です。
- 布団から出る前、体は起こさず顔を横に向けます。
- 顔を横に向けたまま体温計を口にくわえ、頭と一緒に体温計も枕に寝かせるようにして測定します。
この方法なら、寝ぼけていても体温計が落ちにくく、安定して測れます。測定中に手を使って支える必要もないので、体温計がぐらつくこともほとんどありません。まるで“体と体温計が一緒にお休み”しているイメージで、リラックスした状態で測定できます。
測った体温は、スマホアプリや紙の表に毎日記録しましょう。たとえ体温がガタガタでも、飛ばさずに続けることが大切です。なぜなら、変動のパターンこそが、あなたの体の状態を知るヒントになるからです。
また、体調や睡眠不足、飲酒、風邪などでも体温は上下します。気になるときはメモに簡単に書き添えておくと、後からグラフを分析するときに役立ちます。基礎体温は完璧を目指すよりも、日々の体の声を記録することが最優先です。
基礎体温を「不安の種」から「自分を知る手がかり」へ
基礎体温表は、ただの数字や線ではなく、あなたの体が毎日送ってくれる“小さな声”です。妊活中は、生理が来るたびにがっかりしたり、焦ったりすることもありますよね。でも、グラフをじっと観察して読み解くことで、体の状態を冷静に把握できるツールに変わります。
高い?低い?ガタガタ?――そのどれもに意味があります。気血や冷えのサイン、排卵や黄体の働きのヒント……漢方的視点で理解することで、グラフは不安の種ではなく、自分を知る手がかりになります。完璧じゃなくても大丈夫。グラフから自分の体の声を読み取ることで対策がわかれば、基礎体温は妊活を支える“前向きな力”になります。

