管理栄養士・国際中医薬膳師の趙みどりです。
今回は女性の健康にかかわる「当帰」についてです。
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漢方通に人気の薬草、当帰とは
当帰はセリ科の多年草で、日本各地の薬園で栽培されている植物です。
根が薬用として用いられ、生薬名もトウキといいます。冷え性や婦人科の疾患、血液循環の改善などに良いとされています。
当帰の葉は食用として用いられ、お茶にしたり、ふりかけにしたりお料理にも使用されます。当帰エキス入りの歯磨き粉もあるので興味のある方は試してみてはいかがでしょうか？
使用歴2000年以上！女性を支えてきた中国原産の生薬
当帰は古くからの中国の伝統医学で女性のさまざまな不調に用いられてきました。
別名をチャイニーズアンジェリカといい中国の中央部の寒冷な山岳地帯を原産とします。
当帰の歴史の歴史は古く、１世紀ごろ中国で初めて使用されたことが神農本草経に記載されています。
その後は1061年に植物学的な解説が『図経本草』に記され、1596年に『本草綱目』に当帰を使用した治療法が記録されるなど、古代より薬草として活用されてきました。（メディカルハーブ辞典 ：日本メディカルハーブ協会 2014.5.20）
当帰はセロリに似ている？自宅で栽培も
日本の当帰、中国の当帰
学名：Angelica sinensis
科：セリ科
使用される部位：根
原産地：中国
性味と帰経：甘、辛、温。心、肝、脾
効能と応用：補血活血、調経止痛、潤腸通便
当帰は学名をAngelica sinensisといいセリ科の植物です。セリ科の植物は強い香りを持つものもありますが、当帰も同じように根も葉も強い香りを持ちます。和のハーブともいえる当帰。セロリにも似た独特の漢方感のする香りは一度嗅ぐと記憶に残るでしょう。
薬用として使用されるのは根の部分で薬膳の性味では甘、 辛、温の味を持ち、心、肝、脾に帰経します。
中国原産の当帰は辛みが特徴ですが、甘みが特徴の大和当帰が食用で人気があるようです。国内では主に奈良県、兵庫県などで栽培がされており、当帰を用いた商品開発も盛んなようです。 残念ながら国内では根は薬用とされているため食用として用いるのは葉の部分のみですが、農家さんなどに問い合わせると苗を販売してくださるところもあるのでぜひお庭で育ててみることをおすすめします。
当帰栽培を実践！
このコラム内の大和当帰の写真はすべて筆者の庭で育てたものです。
めんどくさがりで何でもすぐ枯らしてしまう方なのですが当帰はわりと放置していても（水やりはしましたが）4年くらい毎年元気に育ってくれました。
葉をカットしてもまたすぐに生えてくるのでお茶にしたりお料理に使用したりと活用して楽しみました。
４年くらい経ったころに初めて花が咲き、花が咲くと根も細くなってしまうのだとかで枯れていきましたが、先日また１株小さな当帰が生えているのをみつけました。 もう少し楽しませてくれそうです。
セルフケアにも
効能としては補血活血、調経止痛、潤腸通便などがあります。 中国の医療で最もよく処方されるハーブの一つである当帰は、主に女性疾患の治療に使用されてきました。
ハーブ療法として、更年期や月経前症候群などにも使用されています。セルフケアに使用するなら葉がおすすめです。
韓国での当帰の活用
韓国では中医学が独自に発展し韓方ハンバンという考えが生活に根付いています。 東洋医学に基づく治療をする韓医師や韓医院というものが存在し、医療には生薬、薬草が使われ てきました。
ソウルでも薬令市場があり、さまざまな生薬が売られています。
韓国の伝統医療 韓方の魅力 はじめまして。管理栄養士・国際中医薬膳師の趙みどりです。「食」を大事にする韓国伝統医学、韓方（ハンバン）に深く共感し、伝統茶などを取り入れながら日々の養生に生かしています。初回は韓国の漢方、韓方（ハンバン）の[…]
また、古くはホジュンがまとめた「東医宝鑑」では薬食同源の考えのもと、食べ物と薬を区別しない という考え方があり、薬の性質と効能を記述する方法で食べ物を説明しています。 その中でも当帰は女性の体にいいとされサムパプ（野菜包みごはん）やファジョン（お花のチヂミ）、チャンアチ（漬物）、お茶などに使われてきました。
サムギョプサルもサンチェの葉と当帰の葉で巻いて食べることもあるようです。 普段の食事で薬草を自然にとりいれて生活する環境はとてもいいですね。
当帰の含まれる漢方薬
当帰の含まれる漢方薬にはいくつかありますが、代表的なのは当帰補血湯、当帰芍薬散、四物湯、十全大補湯などではないでしょうか。
四物湯と当帰補血湯は補益剤のグループの中の補血剤で、血虚の症状に処方されることが多いようです。
同じ補益剤グループの中でも十全大補湯は気血双補剤で気血両虚の症状に適用されます。
当帰芍薬散は和解剤のグループで調和肝脾剤です。一般的には足腰の冷えや生理不順、月経異常などに適用されるようです。
気や血を補い、月経不順などの不快感をサポートしてくれる当帰はまさに女性の悩みの強い味方ですね。お悩みの症状があれば漢方薬局に相談してみるのもいいかもしれません。
