気になる美容フルーツ!なつめを大解説

気になる美容フルーツ!なつめを大解説

管理栄養士・国際中医薬膳師の趙みどりです。今回は気と血を補う滋養強壮食品、中国では1日3粒の摂取で老い知らずともいわれるなつめについてまとめてみました。

中国・韓国から日本にも愛用者が広がるなつめ

漢方や薬膳が広まり、なつめも少しずつポピュラーになってきました。気と血を補い貧血や冷え、美肌にもよいとされるなつめは健康志向の方にとても人気です。
なつめは約3000年前から栽培されクロウメモドキ科の成熟果実です。冒頭にもあるように、1日3粒食べれば年をとっても老いが現れないということわざもあるくらい中国では生活に溶け込んでいます。

韓国なつめの産地忠清北道・報恩(ポウン)尚北道・慶山が有名です。韓国では「テチュ」と呼ばれ、韓国料理にも使われます。参鶏湯にもなつめがはいっていますね。
毎年秋には報恩なつめ祭りなどのイベントが開催されます。9月~10月が旬で、中国・韓国では収穫時期の秋ごろに生のなつめが出回るそう機会があれば生のなつめも食べてみるのもいいですね。

薬膳では「大棗(たいそう)と言われ、頻繁に用いられる食材の一つです。
日本では乾燥なつめが一般的です。おやつがわりにそのまま食べたり、お茶にしたりヨーグルトに入れても。なつめチップスなども販売されています。

忙しい女性にとって欲しい!なつめの栄養成分なつめの栄養

なつめの栄養成分

なつめは食品成分表では果実類に分類されます。

乾燥なつめ 100gでエネルギーは294kcal、たんぱく質3.9g、脂質は2.0gです。
[可食部100g中の栄養素]
食物繊維12.5g
カリウム810mg
マグネシウム39mg
鉄1.5mg
ビタミンC1mg

食物繊維はきんぴら1人分(40g)のごぼうでも2.1gなので、とても豊富です。大粒のなつめだと10粒ほどで100gですので手軽に食物繊維が摂れます。
赤身の和牛薄切り1枚(50g)で1mgですがなつめも10粒で1.5mgと鉄分も豊富です。このあたりからも血を補うと言われる所以でしょうか。
摂取エネルギーを気にせず(食べすぎは良くないですが)手軽に食物繊維、鉄分、抗酸化作用のビタミンCが摂れるのは忙しい女性の強い味方の食材と言えますね。早速おやつをなつめにしてみてはいかがでしょうか?

中医学的にとらえるなつめ

大棗(たいそう)
[別名]棗・紅棗・黒棗・南棗・大紅棗
[基原]クロウメモドキ科のナツメの成熟果実
[性味]甘・温
[帰経]脾・胃・心・肝
[効能]補脾益胃・養営安神・養血安神、緩和薬性

なつめは甘くて温める性質をもつので、胃腸の弱い方でも召し上がっていただけます
中医学では脾や胃、心臓、肝臓に作用し、血を補い、潤いを与え、胃腸を健康にし、気も補うと言われます。女性にとって生理中は血も不足しがちですが、中医学では血は心神を滋養し意識を鮮明にし、精神活動を支える役目もあるので「養血安神」といって血を補うことで精神の安定にもつながると考えられています。

おすすめの黒なつめ

蒸して乾燥して・・を繰り返して作る「黒なつめ」というものもあります。乾燥なつめそのままでも美味しいですが黒なつめも甘みが凝縮された味わいでとても食べやすいです。1日数粒をバッグにしのばせておやつ代わりに食べるといいですね。
黒いものは補腎にもいいとされ、枸杞の実や桑の実などと同様にエイジングケアとしても魅力的な食材です。

こんな体質の方に

大棗は薬膳素材辞典によると補益類(補気類)に分類されます。

気・血・陰・陽の不足を補い、体質を増強し、疾病の抵抗能力を高め、虚証を治療する食薬の総称である(薬膳素材辞典より)

補う作用がある食材ですので、「虚証」体質の方におすすめです。「虚証」とは体内の気、血、水(津液)、精などが不足している状態で、不足しているものによって次のように分類されます。

ここでは簡単に説明しますが
気虚 気が足りない。臓腑の働きが低下した状態。
血虚 血がたりない
陽虚 冷え性の方
陰虚 ほてりがある方

などです。生理不順の方や、更年期のほてり、冷え性の方などにはぜひおすすめしたい食材です。
ただ少し注意点は、補うものを摂りすぎると「滞る」恐れがあります。
気を補うからと摂りすぎると「気滞」となってしまいますので、摂りすぎに注意すると同時に「巡らせる」ものも一緒に摂ることをおすすめします。

理気類おすすめ食材(「巡らせる」食材)
橘皮(きっぴ)みかんの皮
金柑(きんかん)、マイカイカなど
なつめを食べるときにこれらの食材のお茶を飲むといいですね。

なつめの入った方剤

なつめの入った方剤のひとつに甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)があります。安神剤の分類で、出典は金匱要略。組成は甘草と小麦、大棗です。効能は養心安神、和中緩急。主治は臓躁ですぐ泣きたくなる、小児の夜泣き、ヒステリーなどに用いられるそうです。

また、棗の種子は酸棗仁(さんそうにん)という生薬でこちらも酸棗仁湯(さんそうにんとう)という方剤があります。同じく安神剤の分類で、出典は金匱要略。酸棗仁と知母、茯苓、川芎、炙甘草などで組成され、効能は養心安神、清熱除煩。こちらは肝血不足、陰虚内熱のイライラなどに用いられます。

このように漢方でも精神安定としてなつめが使用されています。

なつめアレンジ

最後に、なつめを使ったおやつなどをご紹介します。

なつめ茶(テチュ茶)

まずはやはりお茶。

写真は京都の李青さんでいただいたなつめ茶です。韓国には伝統茶カフェがあり、写真のようななつめ茶が出てきます。
もちろん、おうちで乾燥なつめを煮出して自家製なつめ茶もおすすめです。

・なつめ茶(テチュ茶)
1.干しなつめ20粒ほどを洗い、切込みを入れる
2.鍋に水1Lと1のなつめを入れて30分ほど煮出す

煮出したまま飲んでもいいですし、濃くしたい場合は少し長く煮てなつめも濾すと
濃い仕上がりになります。仕上げになつめチップスを浮かべても。

テチュチョ

なつめの密煮です。なつめを蒸して、水、砂糖、水あめ、塩を入れて煮詰め、はちみつを加えて作ります。種を取り除いた部分に種の代わりに松の実を入れ、元のなつめのように見せるのが特徴です。
なつめの味だけでも甘いですが砂糖などで煮詰めているのでお茶請けにもぴったりのお菓子です。

(参考)
性味表大辞典 星雲社 元気幸房 竹内郁子 2021.6.1
薬膳素材辞典 源草社 辰巳 洋 2006.11.15
八訂食品成分表 女子栄養大学出版部 2021.2.20
中医薬膳 教則本 一般社団法人 日本中医食養学会
中医薬膳学 神戸中医学院

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