納豆も発酵食品!暑い夏はねばねばで乗り切ろう!

納豆も発酵食品!暑い夏はねばねばで乗り切ろう!
こんにちは。薬剤師・醸しにすと・食育インストラクターの小河由実です。
どんどん暑くなって、いよいよ夏本番ですね。暑さが厳しくなってきたり、夏バテになるとお蕎麦やおそうめんが食べたくなりますよね。そんな時のお供には納豆がよく合います。納豆はビタミンBを多く含み、また腸内環境も整えてくれますので、夏バテ時には積極的に摂りたい食材です。そんな納豆は発酵食品です。今回は納豆について詳しくお話します。

納豆の歴史

 

 納豆の発祥には諸説あります。昔から大豆は食されていましたが、大豆はそのまま食べると固い為現代と同様に煮て食べていたと考えられています。納豆菌は枯草菌の一種で、田んぼや畑、枯草に存在しており、特に稲藁に多く存在しています。稲作をしていた弥生時代は住居内にて稲藁を使用していましたし、大豆も食されていましたので、偶然稲藁と煮た大豆が作用して納豆が出来たのではないかと考えられますが、あくまで推測であり定かではありません。
 納豆が一般的に広く食べられるようになったのは江戸時代のことだそうです。納豆売りが毎朝納豆を売り歩いていました。これは明治時代以降も続いていました。
 納豆という名称は平安時代の書物に初めて出てきます。しかし、ここの納豆というのはいわゆる納豆ではなく塩辛納豆という糸を引かない納豆を指しています。このころの納豆は寺院で作られることが多く、寺の納所で作られるから「納豆」と言うようになったと言われています。

納豆の製法

 

 伝統的な作り方は、蒸した大豆を稲藁で包み40℃程度で保温し1日放置します。そうすると稲藁についている納豆菌が大豆に移行し発酵が進んで納豆になります。これは稲藁で作る方法ですが、現代は大量生産するために違う手法で作られています。蒸した/煮た大豆に純粋培養した納豆菌の培養液を散布します。これを紙パックや発泡スチロールのパックに充填し、「ムロ」と呼ばれる発酵を行う部屋で発酵させます。16~18時間くらいで発酵が完了し、その後5℃くらいに冷却して発酵を止め、完成です。

納豆にはどんな栄養があるの?

 

 納豆にはたんぱく質、ビタミンB群、ビタミンK、亜鉛、食物繊維が豊富に含まれています。ビタミンKは血液の凝固に作用しますが、骨の代謝にも影響しています。ビタミンKの摂取が骨粗鬆症の予防につながると言われています。また、納豆に含まれているナットウキナーゼも血液をサラサラにする働きがあります。食物繊維も多く含まれているため、腸内環境も整います。
 その他、ホルモンバランスや免疫機能に作用するイソフラボン、整腸作用や抗菌効果のあるレシチン、血栓予防や血圧上昇を抑制する作用のあるサポニンも納豆には含まれています。
 納豆は多くの栄養を含み、また免疫機能や疾病の予防にも寄与するというとても優れた食材です。

納豆菌ってどんな菌?

 

 納豆が血液をサラサラにすることや、多くの栄養が含まれていることは皆さんご存知の方も多いと思いますが、では納豆のねばねばはどうしてできているのかご存知ですか?納豆菌についてご紹介します。
 納豆菌を、煮た豆や蒸した豆に移して人肌くらいに温めると、納豆菌はどんどん増殖しねばねばや納豆の独特の香りを作り出します。また、アミノ酸ビタミンK、ナットウキナーゼを作り出しています。そんな納豆菌、納豆1g中に約10億~20億個もいると言われています。納豆菌はとても強く、茹でても、冷凍しても、乾燥させても死にません。麹を扱う人は麹を扱う場所では納豆を食べてはいけないと言われているほど強いのです。その為、摂取すると胃酸にも負けず生きて腸まで届き整腸作用に寄与します。
 納豆菌が作り出すねばねばの正体は、アミノ酸の一種である「グルタミン酸」と糖質の「フラクタン」が並んで糸状になり絡み合って形成しています。このグルタミン酸が旨味成分であり、フラクタンはネバネバの糸を安定させています。このネバネバは納豆菌が外敵から自身を守るために出していると考えられています。

納豆にはどんな種類があるの?

日本の納豆いろいろ

黒豆納豆
黒豆納豆

 スーパーの納豆売り場では小粒納豆大粒納豆黒豆納豆ひきわり納豆と色々ありますが、もっと色々種類があるのをご存知ですか?大豆は日本各地で様々な品種が作られています。それらを使用した納豆があります。北海道産の鈴丸、山形産の秘伝、希少な紅豆などなどそれぞれ豆の味が異なり、同じ納豆でも食べ比べをしてみるとその違いが明らかでとても面白いです。ひきわり納豆は、ただ単に納豆を細かくしたもの、と思っている方もいらっしゃると思いますが、実際は大豆を炒ってから粗く挽いて、表面の皮を取って煮て作られます。

また、前述しました塩辛納豆もあります。塩辛納豆はいわゆる納豆菌によって作られる納豆ではありません。これは浜納豆や寺納豆と呼ばれる黒い小粒のお豆です。1粒でもとても塩味が強く味噌のような味がします。ちなみに、甘納豆は納豆菌によるネバネバもないのに「納豆」という名前です。これは、当時江戸で浜納豆が有名でその名前をもじって甘納豆と命名されたそうです。

他にも山形の郷土料理に「五斗納豆」というものがあります。農繁期の栄養源として、冬場に作ったひきわり納豆に麹と塩を適量混ぜて春まで発酵・熟成させたものです。ひきわり納豆を作る際と麹添加後の2回、発酵熟成をさせることが特徴です。この2回の発酵によって大豆と米の旨味成分が作られ深いコクと味わいが生み出されます。

世界の納豆いろいろ

テンペ

 実は世界にも納豆に似たものがあります。
【トゥアナオ】タイで食べられています。日本のような形状ではなく、香辛料と共に混ぜて乾燥させて煎餅状になっているものが多いです。日本のような納豆もありますが、納豆を包むものに違いがあります。日本では藁包みでタイでは葉(バナナの葉など)に包まれています。日本のようにご飯にかけて食べる習慣はなく、調味料の1つとして使われています。
【シエン】カンボジアで食べられています。大豆を煮てから竹ザルで、糸が引くくらいまで発酵させます。調味料として使われています。
【キネマ】ネパールで食べられています。茹でた大豆をつぶしてからバナナやパパイヤの葉で発酵させます。カレーなどの料理への調味料として使われています。
【テンペ】インドネシアで食べられています。大豆を煮て、テンペ菌で発酵させてブロック状にします。そのまま食べたり煮たり、炒めたり、揚げたり様々な調理法で食べられています。テンペ菌はクモノスカビであり、枯草菌ではないため厳密には納豆ではありません。

如何でしたか?色々な納豆を取り入れて、暑い夏を乗り切りましょう!   

この記事を書いた人

小河由実

薬剤師・醸しにすと
塩麹や甘酒など発酵食品を自作して日々の料理に積極的に取り入れつつ、発酵食品をより身近に感じてもらえるように、簡単に発酵食品を取り入れられるようなレシピを研究中。 2021年に出産し、子育てをしながら離乳食や食育への発酵食品の取り入れ方も勉強中。

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