この年末年始、帰省してお節料理と一緒に日本酒を楽しんだ方も多いのではないでしょうか?日本酒は地域や蔵元によっても味が違い、一つとして同じ日本酒はありません。そんな日本酒も発酵を利用して作られます。
今回は日本酒の歴史とその効果などについてお話します。
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日本酒の歴史
日本人が米を原料としたお酒を造るようになった時代については不詳ですが、稲作が定着して安定して水稲農耕が出来るようになってからではないかと考えられています。3世紀に書かれた魏志倭人伝には日本人がお酒を嗜んでいることが記載されており、また日本書紀、古事記、万葉集などの文献にもお酒に関する記載が残されていますが、それが米を原料としたお酒かどうかは分かっていません。平安時代の延喜式には現代と同じ米と麹と水で仕込む方法が記載されています。室町時代には酒が流通し始め酒造家が出てくるようになり、京都・大阪には多くの酒屋があったと言われています。
日本酒の作り方
精米
まず、玄米を精米します。この精米の際にどの程度削るかで吟醸酒か大吟醸酒かが変わります。これを精米歩合といいます。蔵元によっては精米せずに玄米のまま使用するところもあり様々です。精米後、洗米し水に漬けて吸水させます。吸水させた米を蒸して麹菌を植え付け、麹を作ります。この後酒母作りに入ります。
酒母
蒸米に麹、水を加えて酒母を作ります。この酒母を「酛(もと)」と呼ばれ、「生酛(きもと)」と「速醸酛(そくじょうもと)」の2つに分けられます。速醸酛は蒸米、麹、水に乳酸菌を入れて、生酛よりも速くできます。生酛作りは伝統的な製法ですが、現在この製法を行っている蔵元は少なくなってきているそうです。
もろみ
酒母が出来たら、もろみづくりに入ります。酒母に麹、蒸米、水を加えてゆっくりと発酵させます。初添、中添、留添の3回に分けて麹、蒸米、水を加えることを「三段仕込み」と言います。発酵が終了しもろみが出来たら搾られます。この時絞られたものが新酒、絞られて残ったものが酒粕です。
火入れ
新酒を濾過し火入れして出荷しますが、火入れしないものもあります。それを「生酒」と言います。貯蔵前のみに火入れしたものを「生詰酒」、瓶詰めのときのみ火入れしたものを「生貯蔵酒」と呼び、火入れのタイミングや回数で味が変わります。火入れしたものに加水をしてアルコール度数を調整して出荷します。何も加水していないものを「原酒」と言います。
日本酒の個性
日本酒造りの肝となっているのがお米です。日本には色々な種類のお米がありその土地その土地でお米の味が異なります。故に、日本酒自体も土地によって味が異なるのです。また、蔵元によって製法も異なる為同じ土地でも同じ味の日本酒は無く、火入れのタイミングや加水の調整でも味は変わる為、多くの種類の日本酒があるのです。
日本酒の種類
酒類業組合法によって日本酒は表示方法が決められています。
酒粕を知ろう
酒粕の種類
日本酒を作る過程で酒粕ができることをお話しましたが、酒粕も発酵食品です。酒粕にも色々と種類があります。
食品として魅力的な酒粕
日本酒は火入れしてから出荷しているものが多いですが、酒粕は火入れせず麹、微生物などが活動した状態のままです。アミノ酸やたんぱく質、食物繊維などがたくさん含まれており栄養豊富です。またレジスタントプロテインも含まれており、コレステロールを下げたり、腸内環境を整えたりする効果が期待できます。
酒粕はお肉やお魚、野菜を漬けるだけでなくお菓子作りやパン作りにも使えます。酒粕を普段の食事に上手く利用すると多くの栄養成分を取り入れられたり、普段出せなかった旨味が出せたりします。
美容にも!
料理だけでなく美容にも酒粕を使うことが出来ます。よく酒粕を使った化粧水や乳液などが売られているのを見たことありませんか?また、日本酒造りをしている杜氏の手が美しいと聞いたことはありませんか?麹によって作り出された酵素が美肌効果に一役買っています。売っている酒粕を温めて、ぬるま湯で伸ばして肌に塗るだけでお手製酒粕パックになります。
稲作文化が根付いた日本だからこそ生まれた日本酒や酒粕。その製法や使い方を知るともっと身近になりますよね。日本酒を買うときの参考に、また酒粕を食事や美容に取り入れてみてください。