食欲の秋の強い味方!
胃腸もいたわる美容の赤い実
山査子(サンザシ)
漢方カウンセラー、養生薬膳アドバイザーの星川美由紀です。“キッチンから健康に”をモットーに、お家でできる食養生をお伝えします。
すっかり秋めいてきましたが、みなさまお元気でしょうか?夏の疲れが胃腸に出ている方も多いのではないでしょうか?
「実りの秋」を迎えこれから美味しいものが沢山出てきます。秋から冬にかけて美味しいものをいただく機会が多くなり、つい食べ過ぎてしまうのもこれからの季節。あれもこれも食べたいけど、胃腸に負担かけたくないですよね。今回は、そんな方に是非活用して欲しい秋の赤い実「山査子(サンザシ)」を今回ご紹介します。
Contents
山査子とは
山査子(サンザシ)はバラ科の落葉樹で、8〜10月に直径3〜4センチ程度の赤い実をつけます。 味は酸っぱくて種が多く入っており可食部分は少ないので加工して食べられることが多い果実です。
中国では山楂子(サンザシ)、山楂(サンサ)、山楂肉(サンサニク)と呼ばれ、漢方薬の原料にもなる生薬です。
山査子の薬膳効果
薬膳的にみると、性味は、酸味・甘味・微温で、体を少し温めます。効能は消食化積(しょうしょくかせき)、といい食べ過ぎ、消化不良、腹部の膨満感や胸焼け、腹痛に良く、特にお肉の脂肪をとかすのが得意です。他には行気散瘀(こうきさんお)といって気血の流れを良くして痛みを改善する働きがあるので、打撲や月経痛、産後の腹痛などによい生薬です。
成分はクエン酸、フラボノイド、タンニン、サポニン、脂肪分解酵素、ビタミンC、ビタミンB2等を含みます。食べ過ぎた時、肉料理などの脂っこいものを食べた時の消化によく、血圧やコレステロールを下げる働きもあるので生活習慣病の予防や、美肌、美白、ダイエットにも良い、女性に嬉しい効能がいっぱいです。
日本では店頭で見かけることはほとんどないですが、薬膳の本場の中国では普通にお店で売られています。(写真は私が中国に行った時に食品売り場で見つけた生の山査子です。)
他には、日本のお祭りの屋台でよく見かけるりんご飴のような、飴がかかったお菓子「山査子棒」の専門店がありました。公園の中の屋台でも売っていたり、中国ではとてもポピュラーなお菓子です。
甘酸っぱくて私はりんご飴よりもこの山査子棒の方が好きです。
中国の食料品売り場ではこのような山査子のシロップ煮や、砂糖を混ぜて団子状に丸めたお菓子(山査球)や、層になったお菓子や、薄いおせんべいみたいな丸い形状のものなど色々に加工されたものが売られていました。日常に生薬のお菓子があるなんて羨ましいですよね。
日本で販売されているのは「山査条」という棒状になった甘く味付けされたお菓子【写真左下】や、山査子の実を輪切りにして乾燥したもの【写真右下】ではないでしょうか? これらは中華食材店などに置いてあるので、見かけたことがある方も多いと思います。他にパウダー状になって売られているのもあります。
棒状のお菓子は携帯しやすく手軽に食べられ、甘味がついてるので胃の保護をしてくれますが、基本山査子は胃の中が空っぽの時ではなく食後にとりましょう。強い酸味は胃粘膜を荒らします。胃酸過多の方は注意が必要です。どんな良いものでも全ての方に良いわけでなないということを覚えておいてください。
味わう山査子、効かせる山査子
ではここからは山査子の色々な使い方をご紹介していきます。
お茶に入れて飲んでみよう
いつも飲んでいるお茶にサンザシの輪切りを2〜3個浮かべるだけ、時間とともにサンザシの酸味が出て味の変化が楽しめるお茶になります。酸っぱいのが苦手な方は蜂蜜やお砂糖を少し入れると飲みやすいですね。日焼けしたお肌にぴったりです。
写真は、山査子、決明子(ハブ茶)、クコの実、菊花を入れた私がよく飲む薬膳茶です。 目の疲れや充血、イライラ、高血圧症にもよいブレンドになっています。
下の写真は、山査子条(棒状のお菓子)を1センチ程度に切って、紅茶と一緒にポットに入れ熱湯を注いだものです。山査子条には甘味が加えられているので、これだけでほんのり酸味と甘みのあるお茶になります。
サンザシ酒をつけてみよう
お酒に漬けることでお茶では抽出できない脂溶性の成分も取り入れることができます。 お酒の体を温める効果が加わることで更に巡りがよくなります。冬の冷えでお困りの方にオススメです。
果実酒の目安は、果物1:お酒1.8:氷砂糖0.5です。果物が持つ酸味や甘みを考慮し、加減して作りましょう。
清潔な瓶に材料を交互に入れ、氷砂糖が溶けるまで毎日1日1回瓶を上下に振って、直射日光の当たらない場所におきましょう。1ヶ月程度置いたら飲み頃です。
ジャムをつくろう
生の山査子が手に入ったらジャムを作りましょう。生の山査子は店頭に並ぶことはほぼないですが、今はオンラインで買えるところもあるので、欲しい方はチェックしてみてください。
ジャムの作り方
- 生の山査子を洗い、水気を拭く
- 輪切りにする【写真A】
- 種を取り除く
- 種はお茶パックにいれる
- 鍋に山査子とお茶パックに入れた種、氷砂糖(適量)を入れ、弱火で煮詰める【写真B】。途中で味見して好みの甘さにしましょう(グラニュー糖やお好みの砂糖でも可)
- 水分が少なくなるまで煮詰めたら出来上がり【写真C】
出来上がったジャムはこのようにヨーグルトに入れたり、カマンベールチーズにトッピングして食べるととても美味しいデザートになります。
他には調味料として使うことができます。例えば酢豚のような甘酸っぱい料理に隠し味で使ってみてください。いつもの酢豚がぐんと美味しくなるし消化も助けてくれます。
生が手に入らない場合はドライのサンザシでもジャムはできます。その場合は水をひたひたに入れて作ってみてください。
料理に使ってみよう
我が家では、豚の角煮やミートソース、ビーフシチューなど、肉を煮る時や脂っぽくなりがちな煮込み料理にドライのサンザシを3〜4個入れて煮込みます。サンザシを入れるといつもより早くお肉が柔らかくなりさっぱりと頂けます。スープにも隠し味で入れたりします。これは鶏肉と大根のスープにサンザシを入れて煮込んでいるところです。煮込んだサンザシは一緒に食べることができます。
食卓酢を作ろう
穀物酢や米酢など普段お使いの酢にサンザシを入れて食卓酢を作ってみましょう。
毎日コツコツ取り入れるには最も簡単な方法だと思います、お味噌汁に、納豆に、野菜炒めにと普段のご飯にちょい足ししてみましょう。サンザシの恩恵を毎日少しずつでも受けることができますよ。
今回は色々な山査子の簡単な使い方をご紹介してみましたが、いかがでしたか?気になるものがありましたら是非作ってみてください。
ちょっとした養生の積み重ねで体は少しずつ良い方向に変わってきます。