深まる秋を快適に過ごすための養生法
ステラデンタルクリニック(広島県)の薬剤師・国際中医臨床薬膳師の豊田暖佳です。お彼岸が過ぎ、少し気温も下がり、空を見上げるとうろこ雲があり、秋を感じるようになりましたね。二十四節気では、10/8~10/22頃が「寒露(かんろ)」と言われ、秋がより深まってくる時期です。ですので、今回は深まる秋を快適に過ごすための養生法をお伝えしたいと思います。
Contents
秋は肺の季節
東洋医学では、秋は「肺」の季節と言われています。空気が乾燥し肺の働きが弱まりやすいので、湿度を保ち、深い呼吸をし、気を巡らせて体のバリア機能を高めることが大切です。肺は、五行説では大腸、鼻、皮膚、悲しみなどと関係していると言われているので、肺が弱って呼吸が浅くなると下記のような症状が出やすくなります。
・アレルギー症状が出やすくなる(鼻炎やアトピー性皮膚炎など)
・腸が乾燥して、便秘になる
・悲しみや不安などネガティブな感情になりやすくなる
・肌トラブルが増える
オススメ養生法
気(エネルギー)を補う
夏の間に汗とともに「気」や「陰」を消耗しているので、まずは消耗した気や陰を補うことが大切です。
秋は、さまざまな食材が旬を迎え、栄養たっぷりのものが多いので、下記のような食材で気や陰を補うことが大切です。(*食べすぎには注意して腹八分にしましょう)
・カツオ、サンマ、鮭
・豆腐
・きのこ
・かぼちゃ
・ごぼう
・れんこん
・いも類(里芋、山芋、さつまいも)
呼吸を意識する
「気」は、食事から取り入れた栄養素と呼吸によって取り入れた新鮮な酸素が結びつくことで生み出されます。深い呼吸をすることで、二酸化炭素を吐き出して、新鮮な酸素を取り入れることができます。鼻呼吸を意識して深く長い呼吸をしてみてください。呼吸を意識しながら、身体を整えるヨガはオススメです。(ホットヨガは大量の汗(気や陰)を消耗してしまうので、今の時期は普通のヨガがオススメ)
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乾燥から守る
室内の湿度が40%以下になると、肌やのどは乾燥し始めます。お肌やのどが乾燥しているということは、内臓も乾燥している証拠です。水分を失った腸は便を排出しにくくなり、便秘になりやすくなります。そうならないためにも、こまめな水分補給と加湿器などを使って適度な湿度(65%前後)を保つようにしましょう。大量に汗をかくことは、乾燥の原因になりますので、激しい運動は控えめにしましょう。
腸内環境を整える
アレルギー症状が出やすい秋には、まずは腸内環境を整えてあげることが大切になります。腸は副交感神経(リラックス神経)が優位のときに活発に動きますので、ストレス過多で交感神経が1日中高まっている方は注意が必要です。また腸内環境は、季節、食事、睡眠、運動、ホルモンバランスなど様々な因子が影響しますので、できるところから腸内環境を整える習慣を始めてみてください。
・自律神経を整える時間と言われている23時から3時は、熟睡できるようにする
・起床したらまず朝日を浴びて深呼吸する
・子午流注*では大腸の時間は5時から7時と言われているので、この時間に白湯をコップ一杯飲んで、腸を働きやすくする
・未消化便を減らすために食事はよく噛む(1口30回から50回がおすすめ)
・排便するときは、いきんで出すのではなく、お腹をへこませながら、息を吐きながら出す(副交感神経が優位になるため)
・腸内細菌は約100兆個おり、それぞれに好みがあるので、加工食品や偏った食事、糖質、高脂肪食ばかりにならず、品目のバランスを考えた食事にし、食物繊維や発酵食品も食べる(イメージは旅館の朝食)
心安らかにリラックスして過ごす
季節的に「悲しい」「不安」などの感情になりやすいですので、リラックスして過ごすことが大切です。深い呼吸をすることで気の巡りが良くなり、自律神経が整います。またレモンやミカンなどの柑橘系やラベンダーの香りで気分を落ち着かせることもオススメです。
上記のように秋は気や陰を消耗し過ぎず、リラックスして過ごすことが大切になりますので、新しいことを始めるよりは、今までやってきたことの総仕上げをしたり、整理したりするのにふさわしい季節です。
おすすめ漢方薬
秋の養生法をやっても体調がすぐれない方は、漢方薬もオススメです。
・喉が乾燥することで起こる空咳やしわがれ声、切れにくい痰にオススメ→麦門冬湯(ばくもんどうとう)
・肌が乾燥して、かゆみが出ている方にオススメ→温清飲(うんせいいん)
・胃腸も弱り、自律神経が乱れ、睡眠が浅くなったり、気持ちがふさぎがちな方にオススメ→加味帰脾湯(かみきひとう)
体質によって選択される漢方薬は異なりますので、漢方薬の専門家に相談してみてください。