薬膳の定番食材「クコ」の 葉っぱを食べてみよう!

薬膳の定番食材「クコ」の
葉っぱを食べてみよう!

漢方カウンセラーの星川美由紀です。“キッチンから健康に”をモットーにお家でできる食養生をお伝えしています。

今こそ取りたい緑の苦い野菜

桜も咲いてすっかり春ですね!寂しかった庭の景色が一変し、一雨ごとに膨らんでくる小さな花の芽に元気を貰う日々です。
そんな春に食べて欲しいのは緑の野菜たちです。ぐんぐん育つ緑の野菜からパワーをもらいましょう。なかでもこの時期にしか食べられない山菜は特にオススメです。独特な苦味やエグ味が感じられる山菜は苦手な方も多い食材かと思いますが、この味こそが薬効です。冬に溜まった体の老廃物を解毒する働きを持っています。
冬眠から目覚めたクマが1番最初に食べるのは山菜だそうです。眠っていた間に溜まった老廃物を体から追い出し、動きやすい体にするのには、クマにとってもうってつけの食材なのでしょう。動物たちは本能的に自分たちが今必要な物を知っているのかもしれませんね。

私たちも春をスムーズに過ごせるように、ちょっぴり苦い緑の野菜を意識して食べましょう。今日は苦味を持つ緑の野菜として「クコの葉」についてお話しします。
「クコ」と言えば皆様ご存知の小さな赤い実が一般的ですね。クコの実は薬膳料理や薬膳茶、薬酒などに使われており、血を増やし、疲れ目、滋養強壮、アンチエイジングにとても良い食薬ですが、クコの葉も多くの素晴らしい効能を持っています。

意外と身近なクコの葉

私の住む群馬県を流れる渡良瀬川の河川敷には多くのクコが自生しています。
クコは本州,四国,九州,沖縄,および朝鮮,中国,台湾に分布し,低地の土手や溝縁に生える小形の落葉低木です。この葉っぱの形を覚えてください。みなさんのお散歩コースやお出かけ先で見つかるかもしれません。実際私の友人の暮らす千葉でも自生しているクコが見つかったそうです。

クコの新芽

この植物がクコの葉だと知ったのはご近所のお婆ちゃん情報でした。昔からこの渡良瀬川の河川敷にはクコが自生していたそうです。ところが昭和の初期にクコが体に良いと一大ブームが起こった時に、業者がトラックでやってきて根こそぎ引っこ抜いて行ってしまったそうです。少し残っていた根っこが、何年もかけてこのように河川敷一面に広がっていったのだと思います。

漢方養生好きとしてはクコが家のすぐそばにあると知って嬉しくて舞い上がりました。

この河川敷には、クコ以外にもよもぎや葛根など多く植物が自生しているのですが、生薬として使われる植物たちの繁殖力はとても旺盛です。先人たちはこの植物のパワーをお薬や食事に取り入れたいと思ったんでしょうね!

秋になるとクコは紫色の小さな花をつけます。

紫色のクコの花

そして秋の後半には赤い実をつけます。これを乾燥させたものが皆さんがご存知の「クコの実」です。

クコの花とクコの実

クコの葉っぱは何に効く?

ではクコの葉の効能を見ていきましょう。

生薬名「枸杞葉(くこよう)」  ナス科のクコの葉(枸杞の根っこは地骨皮(じこっぴ)という生薬)
性味/涼性・苦味、甘味
帰経/心、肺、脾、腎
含まれる栄養素/ルチン、ペタイン、リノール酸、ゼアキサンチン、ビタミン類、ミネラル類
効能/体の血や水が不足し、潤すことが出来なくなって起こる体内の熱症状を解消します。

症状としてはほてり、赤みを帯びた腫れ物、喉の渇き、肌の乾燥、イライラなどの精神状態に良いです。他には不正出血、目のかすみや痒みなど目のトラブル滋養強壮や動脈硬化、高血圧の予防に良いです。

実だけではもったいない!葉っぱも食べられるクコ

4月から5月にかけて採れるクコの若葉は柔らかく癖がないのでとても美味しいです。

調理法は和え物、お浸し、天ぷら、スープの具など、一般的な葉物と同じ感覚で食べることができます。

新芽の柔らかいところだけ摘んできてよく洗います。

さっと茹でてお出汁や薄めためんつゆに浸して

クコの実も一緒に盛り付けて、自然の姿を再現したクコ葉のお浸しの完成です。ほんのり苦味が感じられてる美味しい春の1品になります。

天ぷらにする時は茹でずにそのまま衣をつけて

苦味はほとんど感じない、サクサクした食感がたまらない美味しさです。

ビビンバのトッピングに茹でたクコの葉をのせてみたり

茹でたクコの葉と長芋とろろとかつおぶしの和え物にしてみたり
このように生のクコの葉は色々な食べ方で美味しくいただくことができます。

ドライリーフの楽しみ方

生がなかなか手に入らなくても、クコの葉を乾燥させたものはお茶として市販されています。

クコの葉にクコの実をブレンドしたもの

お茶の色は透明な薄い黄色、ちょっと草っぽい味がするので他のお茶の素材とブレンドすることで格段に飲みやすくなります。クコの葉にはルチン、ペタイン、リノール酸、ゼアキサンチン、ビタミン類、ミネラル類などが含まれ、高血圧や動脈硬化の予防に昔から飲まれている健康茶です。

クコの葉の収穫は春の間可能ですが、4月下旬までが最適です。5月に入ると虫が卵を産み付けてしまいます。クコの葉は虫も喜ぶ美味しい葉っぱということですね。これからお出かけするのに良い季節になります。植物が自生しているような場所にお出かけの際にはクコの若葉があるか探してみるのも楽しいと思います。外に出て陽を浴び、深呼吸して、春の恵みを探してみてください。体も心も喜ぶ養生になること間違いなしです。

この記事を書いた人

星川美由紀

漢方カウンセラー・養生薬膳アドバイザー
広島県呉市出身。群馬県館林で漢方カウンセラー、養生薬膳アドバイザーとして「漢方養生・薬膳・発酵ワークショップサロン」を主宰。モットーは【キッチンから健康に】。
医療者任せではなく自分の体の不調は自分で改善したり、予防できる人が増えて欲しいという願いから、一般向け講座で幅広い層へ漢方養生を伝える活動を行っている。冷蔵庫にあるものでもお薬の代わりになる使い方のコツや、日々の食事、ちょっとした心がけで体を整える養生法が得意。

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