あなたの消化力大丈夫?胃腸を整えて快適に過ごしましょう。
ステラデンタルクリニック(広島県)の薬剤師・国際中医臨床薬膳師の豊田暖佳です。
今回は胃腸の大切さについてご説明したいと思います。身体に良いと言われる食べ物やサプリメントを摂っているけど、なんだか体調がスッキリしない方はいませんか?スッキリしない原因は消化力!食べ物を消化する力が低下していると、何を食べても元気になれません。自分の不調のサインに気づき、改善していきましょう。
脾胃の働きとは?
東洋医学的に胃腸は、脾胃と考えます。五行説の考えでは、脾は「土」にあたります。イメージとして、土に種をまくと、芽が出て花が咲くように、土は土台となり、命を生み出す場所です。
1.気血水を作り、全身に運ぶ
食べ物を脾胃で消化吸収し、食べ物から気血水(栄養素)を生み出し、全身に運びます。ただ食べても、ここで気血水に変換できないとエネルギーにならず、全身に栄養素を運ぶことができません。
2.内臓の位置を正常に保つ
脾胃は身体の真ん中にあるので、小腸や大腸だけでなく、栄養素を肺などに運び上げる働きもあります。この持ち上げる働きが、内臓を持ち上げて正しい位置に保つ役割も果たしています。
3.血液が漏れないように管理する
血液が血管から漏れないようにし、正常に血液を全身に巡らせます。
脾胃のトラブルサインとは?
脾胃が弱ってくると上記の働きが低下するので、様々な不調が出てきます。
・元気がない、やる気が出ない
・食欲がない
・口内炎がよくできる
・風邪をよく引く
・軟便傾向
・マイナス思考
・甘い物を食べたくなる
・冷え性
など
・胃下垂や内臓下垂により、腹部膨満感、吐き気、胃痛など
・脱腸、脱肛になる
・目の下のたるみ
・ほうれい線がいつもより気になる
・口角が下がる
・胸が下がる
・二の腕が下がる
など
・鼻血が良く出る
・血尿
・血便
・不正出血
・生理の出血量が多い
など
脾胃が苦手なことは避けよう!
上記のようなサインが出ている方は、脾胃が苦手なことをしていないかチェックしてみてください。
1.ストレスや緊張することが多い
緊張すると口が渇いた経験はありませんか?ストレスや緊張が高まると交感神経が優位になるので、唾液や胃酸などに含まれる消化酵素が出にくくなります。慢性的に続くと消化ができなくなり、エネルギーを生み出すことができなくなります。
2.身体が冷えている
手が冷たい方は胃腸も冷えていると言われています。胃腸が冷えていると、イメージとしては、料理をしているが、鍋に火がかからず調理ができないのと同じです。冷えていると食べた物をエネルギーに変えることができません。
3.脂ものや甘い物の食べ過ぎ
脂ものや甘い物を食べ過ぎてしまうと、胃腸での水分代謝がうまくいかず、余分な水分や脂肪が溜まってしまい、下痢やだるさなどの不調が出てきます。特に梅雨時期は外気の湿度も高くなるので、身体に湿が多い方はさらにしんどくなります。
オススメ養生法
消化力を高める食べ方をする
・食前に梅干し、レモン、酢の物などの酸味のあるものを食べて、胃酸の分泌を助ける。
・一口30回以上噛んで食べて、唾液の分泌を増やす。
・食事は温かい汁物から飲んで、胃腸を温める。
・タンパク質の消化を助けるために、杜仲茶やタンポポ茶を飲む。
・早食いではなく、楽しくリラックスして食べる。
・寝る2時間以上前に食事を済ませる。(朝起きてだるい方は食べ過ぎのサインかも)

脾胃を高める食材を食べる
米、かぼちゃ、山芋、里芋、大豆製品、牛肉、豚肉、リンゴなど
生姜、ハト麦、もやし、白菜、きゅうり、冬瓜、梅干しなど
朝食は必ず食べる
子午流注*(しごるちゅう)では、胃の時間は午前7時から9時、脾の時間は午前9時から11時と言われています。ですので、7時から9時の間に朝食を食べることで胃腸が活発に働き、消化がスタートします。その後9時から11時の間に、消化されたものを脾が気血水に変換し、エネルギーを全身に巡らせてくれます。朝食を食べることで、体内時計も朝だよとリセットされると言われていますので、是非朝食を食べる習慣をつけてください。
*子午流注(しごるちゅう)…中国最古の医学書とされる『黄帝内経(こうていだいけい)』には、子午流注について書かれています。簡単に言うと、子午流注とは、図のように2時間ごとに各臓器が活発に作業する担当時間があり、その時間帯にその担当臓器が作業しやすいように過ごしておくと健康でいられるよという考え方です。
オススメ漢方薬
オススメ養生法を試しても、なかなか不調が改善されない方は、漢方薬がオススメです。
・お子様で食欲がなく、体力がない方にオススメ→小建中湯(しょうけんちゅうとう)
・胃腸が弱く食欲がなく、疲れやすい方にオススメ→六君子湯(りっくんしとう)
・胃腸が弱く、胃下垂や脱腸、脱肛が気になる方にオススメ→補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体質によってお選びする漢方薬を異なりますので、漢方の専門家にご相談くださいね。
気血水についてはこちらの記事をご覧ください。
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この記事を書いた人
豊田暖佳
薬剤師・国際中医臨床薬膳師
星薬科大学を卒業後、薬日本堂に入社。実家の広島に戻り、1年半調剤薬局を経験した後、東洋医学の大切さを再認識し、再度、漢方薬局に就職。 子宝、生理痛、子宮筋腫、皮膚症状などを中心に、のべ5000人以上の方の漢方相談の経験があり、 2022年よりステラデンタルクリニックに所属し、お口の健康だけでなく、栄養と東洋医学の知識も含め、全身の健康づくりのお手伝いができるようにサポートしています。 自身も3歳と4歳の子どもがいるので、2度の出産と育児の経験を活かし、マタニティ歯科教室や離乳食、幼児食教室などを開催し、養生法も含めてお伝えしています。