出張もみほぐし整体 Helco(ヘルコ)代表、薬剤師の野間俊吾です。もっと身近に健康を感じてもらいたいという想いから、メンタルケア、ボディケアのコツをお伝えします。
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HSP(Highly Sensitive Person)とは?
「あぁ。生きづらいなぁ。」
疲れ切った仕事の帰り道。あなたはどんなことを考えていますか?
仕事の悩み、人間関係の悩み、お金や健康、将来の不安など、考えたくもないことで頭がいっぱいになってしまい、憂鬱な日もありますよね。ストレス社会と言われるこの時代では日々の生活に生きづらさを感じている人も多いと思います。私もそのひとりです…
あなたは「HSP(Highly Sensitive Person)」という言葉をご存知でしょうか?
HSPとは、1990年代にアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した心理学の概念であり、「超繊細な人」と訳されます。HSPはその繊細な感覚から生きづらさを感じることが多く、抱えやすい悩みとしては以下のような例が挙げられます。
- 「気にしすぎ」、「敏感」などと言われることが多い
- 他人の気分に振り回されやすい
- 強い光や匂い、大きな音などが苦手
- 引越しや転職などの環境変化に弱い
- 些細なことでも深く考えすぎてしまう
- 情報過多になりやすく、疲れやすい
- 失敗を引きずり、自分を否定、卑下することが多い など
あなたはどうですか?
「うわっ。全部当てはまる…。」 そう思った方もいるのではないでしょうか。
HSPは、感覚的に敏感なことや思考力や共感力が高すぎることで生きづらさを感じやすくなっています。私自身もHSPとして悩み、生きづらさ感じることが多々あります。
「この生きづらさをどうにかできないか」
「同じように悩んでいる人たちを救えないか」
私はそう考え、生きづらさの対処法を学んでいく中、とある結論に至りました。
生きづらさを感じるHSPのあなたへ声を大にして言いたいです。それは…
「漢方がマジでおすすめ!」
実は、HSPが生きやすくなるためのヒントは漢方の中に隠されています。(ここでの漢方とは漢方医学の意味であり、漢方薬、鍼灸、養生、薬膳などを含みます。)
漢方を理解し、実践することで、HSPの悩みを解決し、もっと楽に生きることができます。
漢方とHSPの相性は良い
漢方は医学的な知識だけでなく、人生を豊かにしてくれる学問です。漢方の基本的な概念(未病先防、心身一如、陰陽論、整体観)を通して、漢方とHSPの相性が良い理由を前編と後編の2回に分けて解説していきます。
このコラムを読んでいただければ、きっとあなたの悩みを解決できるヒントが見つかるでしょう。
不調は予防できる
未病先防
未病とは、病気ではないが、心身の不調がある状態のことをいいます。未病は言い換えると「病気の種」です。つまり、未病先防(みびょうせんぼう)は未病(病気の種)を見極め、病気にならないように、先に予防するということです。
- 疲れやすい
- 冷えやすい
- 食欲がない
- 眠りが浅い
- やる気の低下
- 気分の落ち込み など
「病院に受診するほどではないけど、なんだか調子悪いなぁ…。」 まさしくこれが未病です。
「生きづらい」は未病
私は、「未病」と「生きづらさ」が少し似ていると考えています。多くの人は、この未病の段階では「生きづらさ」で止まっており、我慢し続けているでしょう。しかし、この「生きづらさ」は後に悪化すると大きな病気になる可能性が潜んでいます。
現代の標準的な医学である西洋医学では、検査値などに異常がみられ、科学的根拠のあるはっきりとした病気に対する治療が得意です。
対して、漢方では、検査値などに異常がみられない未病の段階で漢方薬や鍼灸、養生、薬膳など様々な手段を用いて対応し、病気を未然に防ぐことを得意としています。
つまり、未病(生きづらさ)は漢方で対処することができます。
漢方において、未病は身体の重要な情報です。中には、未病のことを「昔からある当たり前の体質」と勘違いし、気がつかない人もいます。HSPは自身の些細な体調変化にも敏感に気づきやすいため、未病を見極めることに向いています。未病先防は生きづらさを対処し、HSPの健康管理にもとても大切な考え方のひとつです。
心か体か、不調はどこからやってくる?
心身一如(しんしんいちにょ)
心身一如とは、身体と精神は常に一体であるという考え方です。
西洋医学では、肉体と精神は完全に分離して考えます。身体のことであれば内科や外科、心のことであれば精神科といったように診療科で分けられ、ひとりの患者に対してもそれぞれ別の方向から治療を行なっていきます。
いくつかの症状を伝えると「それは専門外だから別の病院を紹介します。」と医師から言われたり、話を流されたりした経験はありませんか?
漢方では、心身一如に基づいて身体と精神は互いに影響し合っていると考えるため、双方の根本的な原因に対する治療を行っていきます。
例えば、頭痛の症状に対しても、「長期的にストレスを抱えることはあるか?」、「ここ最近でイライラすることが増えたか?」、「夜は眠れているか?」、「どんな食事を摂っているか?」といったように、症状以外にも精神状態や生活習慣などの情報を集めることで、原因がどこにあるかを探していきます。
刺激に敏感な心
HSPは繊細で刺激に敏感なため、特に精神的なストレスを抱えやすい体質です。そのため、身体の不調は心が原因でくるものも多く、精神状態は無視できません。いくら入念に身体のケアだけをしても、心の状態が良くないと、またすぐに身体に不調をきたしてしまいます。
「心が病めば体も病む、体が病めば心も病む。」
心身の不調をきたしやすいHSPにとっては、日頃からのケアがとても大切です。心と身体を一体として捉える漢方がHSPの心身を整えることで、本当の健康へ導いてくれます。
いかかでしたか?
今回のコラムでは漢方の概念である未病先防と心身一如について解説しました。どちらもHSPの心身の健康を支えてくれる素敵な考え方であり、もっと深く勉強していくことで、より具体的に生きやすくなるコツがわかってきます。
漢方は医学的な知識だけではなく、人生を豊かにしてくれる学問です。今回のコラムを通して、より多くの人に興味を持っていただけることを願っております。
次回は、陰陽論と整体観の解説を通してHSPが楽に生きるコツをお伝えしていきます。陰陽論と整体観は、悩みを減らすための思考のコツです。理解できれば、悩みがグンと減っていくので、ぜひお楽しみください。