梅雨の女性を救うヨモギの秘めた力
漢方カウンセラーの星川美由紀です。“キッチンから健康に”をモットーに、お家でできる食養生をお伝えしています。
今日は身近な薬草「ヨモギ」についてのお話しです。ヨモギは日本各地の日当たりの良い道端に自生するキク科の植物で、早春の頃から地べたに張り付くようにどんどん増えていく、とても生命力旺盛な薬草です。
ヨモギといえば?実は頼もしい女性の味方
和菓子の「草餅」や「草団子」の原料として使われたり、お灸の艾(もぐさ)の原料、「よもぎ蒸し」といってヨモギを煎じて下半身を蒸すことで体や内臓を温めるという民間療法にも使われています。このようにヨモギは薬草の中でもとても身近な存在です。
ではいったいどんな効能があるのか一緒に見ていきましょう。
生薬名 艾葉(ガイヨウ)
性味 温性 ・ 苦味、辛味
帰経 肝、脾、腎
効能 温経散寒(おんけいさんかん)、除湿止痛(じょしつしつう)、止血安胎(しけつあんたい)
ヨモギは体を温めて血流改善する働きがあります。冷え症の方に良く、冷えからくる月経不順、月経痛、関節痛、腹痛、腰痛などに良く、また止血の働きがあるので月経過多、不正出血にも良いです。
更に安胎(あんたい)といって正常な妊娠を持続させる効果があり、流産の防止として使うこともできます。
ヨモギの葉裏の白くてほわほわした棉毛を乾燥させて作られるのが艾(もぐさ)です。必要なツボにお灸をすることで、私たちの体を温め気血の滞りを改善し体の不調を癒してくれます。
生の葉を揉んで出た汁は止血の効果や虫さされやかゆみ止めにも効果を発揮します。キャンプや登山などアウトドアを楽しまれる方が多くなりましたが、切り傷など怪我をした際によもぎで応急処置ができることを知っておくといいですね!
皆さんは月経痛はありますか?「月経期間だからお腹が痛いのはしょうがない」と思ってはいませんか?多少のお腹の張りや痛みはあっても、強い痛みは伴わないのが正常な月経です。強い痛みがある、月経時にレバー状の血の塊が出る、そんな方は痛みを放置していないでこれからお話しするヨモギを使った養生法を生活に取り入れてみてください。
月経痛に!ジメジメ期の不調に!ヨモギのお茶
まずはお茶から始めてみませんか?ヨモギのお茶は草餅を食べた時のような爽やかな香りがして、とても美味しいです。
ヨモギのお茶は市販されているので取り入れやすいですね。月経痛にはヨモギと生姜、黒糖をブレンドしたお茶を飲みましょう。
下の写真はヨモギに炒った黒豆、なつめをブレンドしました。梅雨時期の冷えと湿気を体から追い出す薬膳茶です。
炒ってある黒豆は最後に食べることができます。
ヨモギの茶葉だけでも十分美味しいですが、このように何かと組み合わせると更に美味しく効能もアップします。
他には、乾燥したヨモギの葉を入浴時に湯船に入れるのも簡単なのでオススメです。冷えからのトラブルで困っている方は是非実践してみてください。続けることで体は変わってきますよ!
洋風アレンジ!よもぎのレシピ
食養生としては色々な料理に使える「ヨモギのペースト」をご紹介します。
ヨモギ(若い葉の部分) 50g
松の実 20g
ニンニク 1かけ
米油 75cc
塩 小さじ半分
【作り方】
①よもぎの葉はよく洗い、塩を少々入れた熱湯で3分程度茹でる
②茹で上がったら水にさっとくぐらせ、水気をしぼる
③ ②と材料を全部入れ、ミキサーにかけペースト状にする
④完成したヨモギのペースとは清潔な瓶に入れて冷蔵庫で保存。二週間を目安に使い切りましょう。
出来上がったヨモギのペーストは茹でたパスタに混ぜてヨモギのジェノベーセにしたり、ソテーした鶏肉や白味魚にとてもよく合いますし、オムレツのソースにしたりと色々に使うことができます。
この日は、鶏もも肉に軽く塩胡椒し、フライパンで焼いてヨモギのペーストを絡めてみました。
気血を補い体を温め元気にしてくれる薬膳料理です。体の疲れ、冷え、血流改善に。
ヨモギは梅雨や夏にもお勧め
ヨモギの温める力で体の冷えが解消できると、血流も改善され、月経時の痛みが楽になったり、顔色が良くなったりお肌も潤ってきます。ヨモギが多くの女性の味方になってくれる生薬だということがお分かり頂けたでしょうか?
寒さが厳しい冬に良いのはもちろん、これから迎える梅雨や夏にもお勧めです。冷房で体が冷えたり冷たいものの飲食が多くなるこれからの時期に是非ヨモギを日々の養生に取り入れてみてください。
セルフお灸をするもよし、よもぎのお茶を飲むもよし、入浴剤としてお風呂に入れるもよし、料理に取り入れるもよし、よもぎ餅を食べるもよし、まずは1番取り組めそうなことから実践して見ましょう。ですが、よもぎ餅は甘いので食べ過ぎは厳禁ですよ。甘いお砂糖の取りすぎは、体を冷やして血流を悪くしてしまいますからね。
ヨモギを生活に取り入れて体の中から美しく健康になりましょう。